香水選びで一番むずかしいのは、「自分が好きかどうか」だけでは決められないことだと思っています。
香りは自分の鼻より先に、そばにいる人の鼻に届くもの。だから、どれだけ自分が気に入っていても、家族やパートナーが「ちょっと苦手かも」と思っていたら、なんとなく気まずいまま使い続けることになります。
その点で、我が家で唯一まったく揉めなかったのが、メゾン マルジェラのフレグランス「レプリカ」シリーズのレイジーサンデー モーニング オードトワレでした。妻が「これは好き」とはっきり言ってくれた、数少ない一本です。
実際に使っている立場から、良かったところも、正直に「人を選ぶな」と感じたところも含めてまとめます。
レイジーサンデー モーニングってどんな香水?
まず製品そのものの話から。
- ブランド:Maison Margiela(メゾン マルジェラ)
- ライン:レプリカ(REPLICA)
- 正式名称:レイジーサンデー モーニング オードトワレ「レプリカ」
- 香りの分類:フローラルムスク
- 香料成分:スズラン、ホワイトムスク、アイリス、アンブレットシード
- 容量展開:10ml/30ml/100ml の3サイズ
- 価格:¥12,210(税込)※30mlの価格
「オードトワレ」は香水の種類を表す呼び方のひとつで、フレグランスのカテゴリー分けに使われる言葉です。
そして外せないのが**「レプリカ」というコンセプト**。レプリカは、特定の記憶や情景を香りで再現しようとするラインです。だから製品名も「〇〇の香り」ではなく、「レイジーサンデー モーニング(怠惰な日曜の朝)」のように、シーンそのものが名前になっています。
公式が掲げているイメージはこうです。
イタリア、フローレンスの清々しく晴れた日曜日の朝、洗い立てのやわらかいリネンのシーツに包まれて過ごす心地良い時間
香りの説明も、「爽やかで清潔感のある心を落ち着かせる香りがやさしく肌を包み込む」「フレッシュなシーツを想起させるフローラルムスクの香りと、窓から注ぎ込む温かい太陽の光を表現する香り」とされています。
要するに、予定のない日曜の朝、洗いたてのシーツの上でぼんやりしている時間を香りにしたもの、というわけです。
実際どんな香り?——「洗いたてのシーツ」は誇張ではなかった
ここからは完全に私の主観です。
つけた瞬間の第一印象は、清潔感の一言でした。甘さやスパイスで押してくるタイプではなく、やわらかい石けんのような、白い布のような香り。「香水をつけた」というより「シャワーを浴びて、乾いたばかりの洗濯物を着た」に近い印象です。
面白いのは、香りの輪郭がくっきりしすぎていないところ。スズランのような白い花の雰囲気はちゃんとあるのですが、それが前に出すぎず、ムスク(肌に近いやわらかな香調のこと)のまろやかさに溶け込んでいきます。
肌にのせてしばらく経つと、香りは**「まとっている」というより「肌からうっすら立ちのぼっている」**という状態に落ち着きます。自分では気づかないくらいの距離感になるのが、この香水の一番いいところだと思っています。
なお、持続時間については個人の体感として「香水の中では控えめな部類」と感じていますが、体質や気温、つける量で大きく変わるところなので、あくまで参考程度に受け取ってください。
妻からの評判——「主張してこない」から好かれる
冒頭に書いたとおり、この香水は妻からの評判がとにかく良いです。
家で使っていると「それ、いい匂いだね」と言われますし、外出前につけていても嫌な顔をされたことがありません。むしろ妻自身も気に入っていて、我が家では夫婦どちらがつけてもおかしくない一本になっています。性別で分けて考える必要をあまり感じない香りです。
なぜ好かれるのかを妻と話していて出てきたのは、**「押し付けがましくない」**という点でした。
香水が苦手な人の理由の多くは、香りそのものというより「強さ」と「距離感」にあります。すれ違っただけで香りが追いかけてくる、といった感覚が苦手なわけです。
レイジーサンデー モーニングは、その逆をいくタイプ。近づいたときに初めて分かるくらいの距離感なので、「香水をつけている人」という印象になりにくい。その人自身が清潔であるように感じられる、という言い方が近いかもしれません。
同じ空間で長い時間を過ごす相手に嫌がられない、というのは、日常使いの香水としてはかなり大きな価値だと思います。
どんなシーンで使いやすいか
清潔感に振り切った香りなので、使える場面はかなり広いです。相性が良いと感じたのは次のあたり。
- オフィス・仕事の日:香りが立ちすぎないので、会議や打ち合わせでも気を使わずに済みます。香水に厳しめの職場でも比較的通しやすいタイプ。
- 休日の外出:コンセプトどおり、休日の午前中の気分にとてもよく合います。カフェに行くだけの日にも浮きません。
- デートや食事:食事の場では強い香りが料理の邪魔になりますが、この香りはその心配が少なめ。
- 家で過ごす日:シーツを換えた日の夜につけると、コンセプトそのものの体験ができます。
逆に、パーティーや夜の華やかな場で**「印象に残る一発」**を狙うタイプではありません。そこは完全に得意分野が違います。
つけ方のコツ——「足りないかな」くらいでちょうどいい
この手の香りで一番もったいないのが、つけすぎです。
香りは自分の鼻がすぐに慣れてしまうので、「あれ、消えたかな」と感じて足していくと、周囲にとってはかなり強い状態になっていることがあります。特に清潔感が売りの香りは、量が増えた瞬間に魅力が損なわれます。
私が意識しているのは次の3点です。
- 量は控えめに。自分ではほとんど分からないくらいで十分です。
- 服より肌に。衣類に直接吹きかけるとシミの原因になることがあるので、まずは肌につけるのが無難です。
- 香らせたい高さを意識する。香りは上に立ちのぼるので、つける位置によって届き方が変わります。強く香らせたくないなら、体の下のほうにつけるのがひとつの手です。
「もう少し香ってもいいかな」と感じるくらいが、他人にとってはちょうどいい。これは香水全般に言えることだと思います。
気になった点・人を選ぶところ
ここは正直に書きます。
1つめは価格。 30mlで¥12,210(税込)は、日常使いのアイテムとしては決して安くありません。初めての一本としては勇気がいる金額です。ただ、レプリカには10mlの小さいサイズも用意されているので、いきなり大きいものを選ばずに済むのはありがたい設計だと思います。
2つめは、香りの個性が控えめであること。 これは長所と表裏一体です。「香水をつけている感」をしっかり出したい人には、物足りなく感じられる可能性が高いです。「石けんの匂いに1万円以上出す意味がわからない」という感想も、正直まったく理解できないわけではありません。
3つめは、清潔感・石けん系という人気の高いジャンルであること。 「わざわざこれでなくてもいい」と感じる人もいるでしょう。最後はコンセプトやブランドに惹かれるかどうかという、かなり感覚的な部分が判断材料になります。
そして大前提として、香りの感じ方は本当に個人差が大きいです。肌質や体温、その日の体調でも変わります。レビューをいくら読んでも自分の肌でどう香るかは分からないので、購入前にムエット(試香紙)だけでなく実際に肌にのせ、時間を置いて確かめることを強くおすすめします。
まとめ
レイジーサンデー モーニングは、**「自分が気持ちよく、そばにいる人にも嫌がられない」**という点で、非常にバランスの取れた香水だと感じています。
- 洗いたてのシーツのような、清潔感のあるフローラルムスク
- 主張が強くないので、オフィスから休日まで場面を選びにくい
- 押し付けがましくないぶん、パートナーや家族にも受け入れられやすい
- 一方で、価格はそれなりに高く、個性を求める人には物足りない可能性がある
香水を「自分を演出する道具」ではなく、**「機嫌よく過ごすための空気」**として使いたい人には、かなり刺さる一本だと思います。我が家では、妻も好きだと言ってくれたおかげで、堂々と使える香りになりました。
最終的に決めるのはあなたの鼻です。気になった方は、ぜひ一度お店で試してみてください。