ホンダのステップワゴン e:HEV SPADA PREMIUM LINE BLACK EDITION(ボディカラーはソニックグレー・パール)に乗り始めて、ちょうど1年。走行距離は8,000kmと、たくさん走っているオーナーではありませんが、季節をひと回りしたからこそ見えてきたことがあります。
良かった点だけでなく、「ここは人を選ぶな」と感じた部分も正直に書きます。価格は4,406,600円(税込)、2025年5月に追加された最上級グレードです。
ソニックグレー・パールを1年見続けて
ソニックグレー・パールは、シビックタイプRにも採用されている色です。「グレー」と聞くと地味に思えますが、光の下で印象がかなり変わります。晴れた日の直射日光では青みを帯びた明るいグレー、曇りや夕方はしっとり沈んだ濃いグレー。パール系なので、角度によって粒子のきらめきが浮かぶのも上品です。
ひとつ補足しておくと、ソニックグレー・パールはBLACK EDITION専用色です。ただしこれは「BLACK EDITIONはこの色しか選べない」という意味ではなく、「ステップワゴンのラインアップの中で、この色を選べるのはBLACK EDITIONだけ」という意味。実際にはトワイライトミストブラック・パール、プラチナホワイト・パール、メテオロイドグレー・メタリック、クリスタルブラック・パール、プレミアムクリスタルガーネット・メタリック、そしてソニックグレー・パールの6色から選べます。
つまり、この色に惹かれたならグレードはBLACK EDITION一択になる、というのが正確なところ。なおソニックグレー・パールは有料色で、+38,500円という位置づけです(クリスタルブラック・パールのみ追加費用なし、プレミアムクリスタルガーネット・メタリックは+60,500円)。
BLACK EDITIONはブラッククロームメッキ加飾、ブラックのドアミラーカバーとアウタードアハンドル、ベルリナブラックの17インチアルミホイールと、外装の差し色が黒で統一されています。この黒とグレーの相性が想像以上によく、白ボディほどコントラストが立たず、全体が一体になった塊感のある見え方です。
汚れの目立ちにくさも実用的で、雨上がりの水垢や薄い砂ぼこりは黒や白ほど露骨には見えません。ただし放置すればくすむので、「サボってもバレにくい」程度に思っておくのがちょうどいいです。
e:HEVの走りは街乗りが一番気持ちいい
e:HEVはホンダのハイブリッドシステムで、基本はモーターで走り、エンジンはおもに発電を担当します(高速巡航などではエンジンが直接タイヤを駆動する領域もあります)。乗った感覚はかなりEVに近いです。
信号が青になってアクセルを踏むと、変速のショックがなくすーっと速度が乗ります。ミニバンという車格を考えると、この軽やかさは想像以上でした。渋滞での前進も、モーター制御が細かく効くのでストレスが少ないです。
静粛性も気に入っています。モーターだけで走る時間帯は本当に静かで、車内の会話や音楽の聞こえ方が明らかに違います。ただ正直に言うと、強く加速を求めるとエンジンが発電のために回り、車速と回転数の感覚がずれる場面はあります。いわゆる「うなる」感じで、e:HEVの構造上出てくる部分。エンジン音と速度が比例して上がる感覚を大事にする人は試乗で確認を。
高速では逆に落ち着きが出ます。直進安定性が素直で、長距離のあとの疲れ方も穏やか。月に一度ほど遠出するたび、「移動そのものが苦にならない」と感じます。
7人乗りミニバンとしての使い勝手
乗車定員は7人。ただ、うちはフル乗車の機会がめったになく、実際は「後ろを畳んで荷物を積む車」として使う時間のほうが長いです。
パワーテールゲートは慣れると戻れません。両手が塞がった状態でリアに回り、スイッチひとつで開く。荷物を持ったことがある人なら一瞬で分かるはずです。
乗り降りのしやすさもミニバンの本領で、床が低めで開口部が広く、子どもや年配の家族でも「よじ登る」感じになりません。家族を乗せるようになってから効いてくる部分でした。
全席にUSB-C充電器があるのも地味に助かります。マルチビューカメラシステムも、狭い駐車場で車体の周りを俯瞰で確認でき、大きめの車を扱う不安をかなり減らしてくれます。
内装の質感とBLACK EDITIONらしさ
シートはスエード調表皮とプライムスムース(合皮)のコンビ、内装色はブラック。触れる部分がスエード調なので、本革のような「夏は熱く冬は冷たい」感じが出にくく、季節を通して扱いやすいです。マットな質感が混ざることで見た目も落ち着きます。
ステアリングロアーガーニッシュのピアノブラックやBLACK EDITION専用エンブレムも含め、「ミニバンだけど生活感を出しすぎない」方向にまとまっているのが好みに合っています。
シートヒーターは冬に一度使うと手放せません。エアコンで車内が温まるまでの数分、背中とお尻が先に温かいだけで体感がまるで違います。Honda CONNECT対応でスマホから車の状態を確認できるのも安心感につながります。
Honda SENSINGは「疲れを減らす装備」
Honda SENSINGはホンダの運転支援システムです。事故を防いでくれる魔法ではなく、あくまでドライバーを支援する機能であり、最終的な判断と責任は運転している自分にあります。
そのうえで、高速道路での恩恵は大きいです。車線の中央を保つ支援や、前の車との距離を保ちながら追従する制御で、長距離の「常に微調整し続ける疲れ」が確実に減ります。降りたあとの疲労感が違い、遠出のハードルが下がりました。
一方で万能ではなく、路面や天候、白線の状態によって働き方は変わります。任せきりにせず「補助してもらっている」感覚で付き合うのが、いちばん気持ちよく使える距離感だと思います。
1年8,000kmという乗り方と燃費の実感
1年で8,000kmは決して多くありません。平日は近所の買い物や送り迎え、週末にたまに遠出、というのが実態です。この短距離中心の使い方でこそ、e:HEVの良さが出ている気がします。モーター主体で静かに走れる場面が多く、日常の移動が単純に快適なんです。
燃費はカタログのWLTCモードで19.5km/L。実燃費は乗り方や気温、渋滞の有無で大きく変わるので断定的な数字は書きませんが、あくまで自分の場合の感覚として、街乗り中心だとカタログ値には届かず、高速を流す時間が長いと伸びる、という一般的な傾向どおりの印象です。
正直に気になった点
ひとつめは車体の大きさ。ミニバンなので当然ですが、古い立体駐車場や狭い住宅街では気を使います。マルチビューカメラシステムに助けられる場面が多く、逆に言えばカメラなしでこのサイズを扱うのは大変だろうと感じます。運転に不安がある人は、日常的に使う駐車場のサイズを事前に確認しておくと安心です。
ふたつめは価格。4,406,600円は安い金額ではなく、ソニックグレー・パールを選べば有料色の38,500円も乗ります。最上級グレードなので装備は充実していますが、「必要な装備だけで安く」と考える人には下のグレードのほうが素直な選択になるはずです。
みっつめは、黒い外装パーツの満足度が高い反面、細かい傷や擦れが気になり始めると止まらない点。加飾は美しいですが、質感が高いぶん小傷に目が行きます。神経質な人は洗車の頻度が上がる覚悟が必要かもしれません。
440万円をどう捉えるか、どんな人に向くか
1年乗っての結論は、この車が「広さと積載を確保しつつ、内外装の質感と静かさにもお金を払いたい人」のための一台だということです。
おすすめできるのは、家族での移動が多く荷物もよく積み、なおかつ「いかにもファミリーカー」に見えるのは避けたい人。黒で締めた外装とソニックグレー・パールの組み合わせは、実用車でありながら落ち着いて見えます。街乗り中心で、静かで滑らかな走りに価値を感じる人にも合います。
逆に向かないのは、コストを最優先する人、狭い道や小さい駐車場を日常的に使う人。装備の充実は上級グレードならではですが、そのぶん価格に跳ね返っています。サイズも、便利さと取り回しはトレードオフです。
440万円は衝動で出せる額ではありません。それでも1年・8,000kmを共にして、乗るたびに「静かで気持ちいいな」と思える時間が積み重なったことを考えると、自分には納得のいく買い物でした。
なお、この記事はあくまで個人の主観です。装備やボディカラーの設定、価格は変更される可能性もあります。気になる方は公式サイトで最新情報を確認のうえ、ぜひ実車に触れて試乗してみてください。写真では伝わらない色の変化と静かさが、一番の魅力だと思います。